オシャレな人はパクチーばかりいつも食べている

パクチー食べません。コメントください。

ため息がでる豆腐、言葉を失う納豆

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きのう、いい豆腐と、いい納豆を買った。労働してお金を稼いだので、ささやかな贅沢。笑

 

帰宅してビールをあけて、まずは豆腐から食べた。

なんなんだこの豆腐は。

ほんとうに。

こんな豆腐は、いままで食べたことがなかった。

三之助ブランドで豆腐を製造販売している、もぎ豆腐店の最高級豆腐、只管豆腐。

只管と書いて、ひたすら、と読む。詳しくはHPにも書いてあるが、職人技の真髄を詰め込んだ豆腐。なんというか、進化系の豆腐だ。

わたしは、豆腐の味を確かめるときは、まずは何もつけずに、そしてつぎに塩をふりかけて食べる。何もつけずに食べることで、その豆腐の味の濃さや風味の特性がわかり、塩をつけて食べることで、どういう味わいになるのかを想像することができる。それから、薬味や醤油を試すのだが、この豆腐は、何もつけずに食べたとき、その味に、思わず息を呑んだ。

なんだこれは…。

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まず、食感から違った。見かけは木綿なのに、まるで絹のような、いや、絹を越えたなめらかさ。個体として存在していることが不思議に思えるような舌触り。木綿とは思えないテクスチャー。個人的には木綿のほうが絹よりも好きなのだが、いままで食べたことのある、どんな木綿とも、どんな絹とも違う食感だった。くちのなかでとろけるようにほぐれ、喉を滑り落ちた後に、ほのかでやさしい、しかし、端正な香りが鼻腔に残る。なんだこれは…。ひとりのキッチンで、ほんとうに声に出してそうつぶやいてしまった。もちろん、味もすごい。濃厚なのにしつこくない風味、絶妙な甘み。

たまらずに、すぐにもう一切れを手に取り、塩を振って食べてみる。塩分が加わることで、味の輪郭がよりはっきりする。大抵の豆腐は、うま味や香りとともに、雑味や臭さも感じることが多い。醤油で食べるとマスクされてしまうような味がはっきりと見えてくる。それが、この豆腐は、雑味や臭みが一切なかった。言ってしまえば、味の濃さや強さが、絶妙なのかもしれない。濃いだけの豆腐、というのも多い。もちろん、濃いことは悪いことではないのだが、街の豆腐屋に多い気がするが、香りやうま味も強いが、雑味や臭さがちょっと強すぎると感じてしまう豆腐がある。

この豆腐の凄さは、香りやうま味は十分すぎるほどにあるのに、大豆特有の生臭さのようなものが全く無く、それから、その味に濁りがないこと。こんなに澄んだ味の豆腐は、ほんとうに、初めて食べた。

そして、みょうがと醤油で食べてみる。普通に美味しい。しかし、豆腐の味が繊細なので、薬味の必要性に疑問を感じる。この豆腐に、薬味は要らないかれない。

豆腐といえば…やっぱり鰹節。

荒節と本枯節と両方持っているので順に試してみた。まずは荒節。そりゃもちろん美味しいのだが、わかっていたことだが、荒節の味が強すぎる。ちなみに醤油はヒゲタの単なる普及品。

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そして、いざ、本枯節。切った豆腐に本枯節をひとつまみ乗せて、醤油をかける。

ため息がでた。笑

本枯節の真髄を発揮、とでもいうか、荒節に比べて穏やかで繊細な味わいの本枯節の風味が、このデタラメに美味しい豆腐と、綺麗にマッチして、驚きの美味しさになっていた。

この食べ方が、一番しっくり来たので、残りは全部この食べ方で食べた。あっという間になくなった。

豆腐一丁でこんなに歓びを味わうことができるのなら、安いもんかもしれない。

ちなみに、この豆腐の気になるお値段、584円である。(400g)

スーパーのその辺の豆腐と比べると、驚きの価格だが、一食の価値はあると思うし、奇をてらった妙な豆腐ではなく、その味わいや食感はいささか特殊ではあるが、日常の豆腐の延長線上にある豆腐なので、金さえあれば日常的に食べたいと思うような商品だった。

木綿なのに、絹よりもなめらか。

技術的なことはわからないが、とにかく美味しかった。なんなんだこの豆腐は。

 

一緒に買った納豆は、下仁田納豆。ここの社長の南都隆道さんは、もぎ豆腐店の先代社長の茂木稔さんとは、商売上の弟子、のような関係だったらしい。納豆のパッケージの中には、三之助ブランドの醤油が入っていた。

包装を解くと、納豆たちは、発泡スチロールでも紙でもなければ藁でもなく、経木(きょうぎ)に包まれていた。

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経木をそっとめくり、一粒たべてみる。

ぬおおお…。

いままで食べていた納豆は…? なんだったんだ??

うま味、甘み、香り、歯ざわり。

なにも味をつけていないとは思えないくらいに、しっかりと味のある納豆だった。

こちらも、豆腐と同じく、塩で食べてみる。

雑味がなく、澄んだ味。すごい。豆腐も納豆も、ほんとうに、この人達はなんなんだ…。笑

こんな味の豆腐や納豆が世の中に存在していたのか、と思うと食べていて鳥肌がたった。

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付属しているのは醤油と、粉からし。デタラメなマスタードもどきのからしや、アミノ酸調味料がどっぷりのタレが添付されているそのへんの納豆とは、もうこれだけで風格が違う。笑

逆に言えば、市販の納豆は、醤油だけではうま味が足りないから、いろいろとわけのわからないものがごちゃごちゃ入ったタレを使うことになるのかもしれない。

この納豆は、そのままでも驚くほどにうま味があって、付属の醤油をすこし垂らして食べてみると、それだけで十分すぎるくらいに美味しかった。

納豆の正しいとされる食べ方は、糸を切るようによく混ぜて、糸が落ち着くまで少し時間を置いて、それから食べる、というものらしい。

ものは試しでその通りにして食べてみたら、たしかに、うま味が更に増えたように感じられた。

混ぜてすぐにそのまま食べたときは、逆に味が強くなりすぎて、混ぜずに食べたときのほうが美味しく感じたが、混ぜてしばらく置いてから、醤油を垂らして、辛子をすこし混ぜて食べると、もう、最高の味だった。

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和からし、あまり馴染みがなかったが、ツンとするその辛さはスッキリ尖っていて、なんだかわさびに近い感覚だと思った。

 

この豆腐と納豆の組み合わせは、樋口直哉さんの著書、「おいしいものには理由がある」で読んで知った。(是非読んでほしいオススメの一冊)

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しかし、わたしは情報やストーリーを食べているわけでは無いし、SNSにアップするために食べているわけでもないので、どんなに本でよく書かれていても、食べてみて美味しくなかったらこんなには絶賛していないだろうと思う。

豆腐も納豆も、期待通りの、期待以上の、美味しさだったので、流石は樋口さんだなぁ、と思った。笑

本に登場したほかの食品もまだまだ食べてみたい。

 

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豆腐と納豆を食べおわったあとは牛肉を食べた。前夜に、両面に塩を振ってペーパーで挟んで冷蔵庫に入れて、簡易エイジングしておいたら、びっくりするくらい美味しくなった。

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塩味はついているので、オレガノとブラックペッパーを振って食べた。それから、納豆についていた三之助の醤油と和からしで食べたら、さらに最高だった。簡易エイジングすることで、たぶんだけど、肉の水分が減って、味が濃くなり、なま臭みが減るみたい。下ごしらえって大事だなぁと思った。