オシャレな人はパクチーばかりいつも食べている

パクチー食べません。コメントください。

料理ブログ〜鰤の塩焼き、柑橘、マヨネーズ、塩、米炊き、の話〜

久しぶりにけっこう真面目に料理をした。テクニカルな面で、いろいろとアップデートがあった気がしたので、また例によって食い物の話なんですが、ごちゃごちゃと書きます。

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三茶に行った帰りにうっかり立ち寄ったスーパーで、良い鰤を買ってしまったのがことの発端。前からよく買っていたが、小田急OXのふた切れで750円くらいする高い鰤を買った。まぁ、わたしはいつも閉店間際に半額で買っているのだが、とにかくいつも良い鰤が買える。今回の鰤は土佐の「黒門ぶり」というブランド鰤。オ◯ゼキとかで安く売られているそのへんの鰤とは比べものにならない高品質さで、臭みの少なさや風味の良さなど、本当に最高。宮崎の鰤も美味しくて好きだが、高知の鰤も美味しいね。ちなみに、鰤の旬は本来は冬だが、この手の養殖ぶりは、産卵期をコントロールしてずらすなどして、夏でも美味しく食べられるように計算されて養殖されているので、夏の鰤とは思えないくらいにしっかりと良質の脂がのっている。

 

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そんな鰤は塩焼きにした。照り焼きにするのはもったいないくらいの鰤なのよね。生の切り身の表情だけでそれがわかるくらいには良い鰤。
2切れあったので、焼き方を少し変えて比較してみたところ、その焼き上がりに、顕著な違いがあってとても面白かった。

まず、1切れ目は、表面の香ばしさが強い焼き上がりを狙うことを優先し、タンパク質の熱変性の特性を考えると強火を使うのは好ましいことではないと知りながらも、強めの火で両面をサッと焼いて、弱火で仕上げてみた。
素材が良いし、もちろん美味しいのだが、この焼き方だと思っていたよりもずいぶんとパサついた焼き上がりになってしまった。

そこで、2切れ目は、とにかく終始弱火で焼いた。表面の焼き目は確かに1切れ目に比べるとわずかに弱い気がしたが、しかし、フライパンの上で不必要に動かさなければそれでも十分に焼き目はつくし、驚くべきことに、1切れ目に比べて大きく香ばしさで劣るということも無かった。メイラード反応をねらって強火にするのはやはり意味がないのか?? 火力かける時間、という式で考えると、やはり、火力ではなく、時間で熱量をかせぐべき、ということなのかもしれない。

しかし、その焼き上がりの美味しさは、本当に歴然の差。2切れ目は、しっとりととろけるようなテクスチャーに仕上がっていて、この鰤の旨さが最大限に発揮された焼き方だと思った。鰤そのものの風味や香りもかなり違う。たしかに、表面のカリカリ感は1切れ目のほうが良かったが、それに伴うネガのほうが多いので、強火を使う調理は、トータルでは、良い方法とは言い難い。弱火でしっかりと焼き目をつける焼き方を次は模索してみたい。油の量とか、酒の使い方にヒントがあるような気がする。

とはいえ、低温で焼けばジューシー、というのは、たぶんすべての鰤に通じるわけではなく、そのへんの安い鰤だと、どんなに低温で焼いてもこんなにしっとりなめらかには焼き上がらないだろうな…とは思うが。

 

ちなみに、火加減も大切だが、鰤を焼く時の最大のコツは、下ごしらえにある。

パックから取り出したら、両面に塩を振って表面によくなじませて、10分くらい放置しながら両面をキッチンペーパーで挟んで滲み出る水分を吸いとる。そして、焼く直前に、バットに並べて熱湯をかけて、いわゆる霜降りにする。さらに水分をペーパーで吸い取って、さあフライパンへ、というこの下準備で、劇的に臭みが減る。

焼くときは、前述の検証からもわかるように、絶対に強火にしないこと。油は米油か太白胡麻油をうっすらひくのが良い気がする。フライパンに乗せたら、ひっくり返すとき以外は動かさない。焼き目がついたらひっくり返して、鍋肌に料理酒を垂らして蓋をする。

焼き時間の加減は慣れと勘。笑

弱火で焼き目を、という課題をクリアするために、近いうちにまた試したい。

 

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お米も、最近、炊きまくってるので上達した。コツは、水分が残ってるうちにしっかり強めの火にかけて、米に吸われていない水分がなくなったら、火を弱めて、可能な範囲で慎重に火を強くすること、かなと思っている。はじめの炊きが不十分だと、水分がなくなってしまってからでらはもう取り返せないので、それだと妙に固く炊きあがってしまったりする。ふっくら仕上がらないのだ。水分が足りなくなってから強く炊くと、当たり前だか、焦げる。笑

ということで、どれだけはじめに強火で炊けるかと、どこで火を弱めるかが、ポイント。たぶん。

米炊きは毎回が真剣勝負で、どういうわけか、全く同じ炊き上がりというのはまずないので、奥が深い。これからも精進したい。笑

 

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肉厚の原木椎茸は、魚焼きグリルで焼いた。

なかはしっとりジューシーに、表面はかりっと香ばしく焼き上げた椎茸は、あたりまえだが、うーん美味しい美味しい。

ちなみに鰤にも使ったが、柑橘の味比べもした。
かぼす、すたち、へべす、という3種類が手元にあったので、味をしっかり比べてみた。

 

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🍊かぼす(写真左下)
風味が一番強い。えぐみや苦味も強い。強めの食材に合いそう。

 

🍊すだち(写真右)
シャープな酸味。かぼすほど風味は強くないがそれなりに主張は強い。一番幅広く使えそう。

 

🍊へべす(写真左上)
ほかの2品種にくらべて圧倒的にマイルドで、ジューシー。果物感がしっかりある。臭みをマスクしたりするような使い方には向かなそうだが、食材の風味が一番活きる印象。
ちなみに、平兵衛さんという人の庭で栽培されていたからへべすという名前になった日向産の果実らしい。

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鰤の塩焼きと、グリル椎茸とでそれぞれを試したが、今回の食材は、両方ともへべすが一番マッチしたと思った。

鰤も椎茸も、素材に臭みや癖が無いし、それぞれの風味がしっかり自立しているので、ぶつからずに味を引き立てるべべすが優勝だった。

 

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あと、ついに、あの松田のマヨネーズを買ってみた。先日、インスタでも紹介した樋口直哉氏の著書に登場したあのマヨネーズだ。せっかくなら味を比べてみようと思い、辛口と甘口、両方を買ってきた。
開封して、味を見てみると、いままでのマヨネーズではありえない、経験したことのない奥行きのある味わいに、ただただ驚いた。なにこれほんとに美味しい。とにかくさっそくもっと試して見たくなり、思わず、セブンにジャガイモを買いに走り、そのままポテサラを作った。

 

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ポテサラは、マヨネーズの味を活かすためにも、また、マヨネーズに十分に風味があるため、具材はジャガイモだけ。切って茹でたジャガイモに、マヨネーズをなじませ、薄口醤油、塩、オレガノ、ブラックペッパーで味を整える。甘口と辛口と両方を試したかったので2種類作った。
そもそも、辛口と甘口、マヨネーズそのもの味の違いは、辛子の量が違うことらしいが、辛口と言えどもべつに辛いわけではなく、本当に、風味の差、というレベルでの違いだった。慣れないと、ブラインドテストでは両者を比較しなければどっちがどっちなのかわからない気がする。
第一印象では個人的な好みにおける評価では辛口が優位だったが、甘口も美味しいし、悩ましいところではある。

 

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そういえば、塩はさいきんはこれを愛用している。特に高くないわりに、美味しい気がする。

塩の製法にもいろいろと種類があり、とても奥が深い。スーパーの食塩売り場にいくと、本当ピンからキリまでいろいろあるが、とりあえず、価格と品質のバランスが一番良い気がしているのでヨネマースをいつも買っている。通常、キロ200円前後の塩は、ほとんどがイオン膜をつかった製法によるものだ。イオン膜をつかった製法は、海水を電気操作して塩化ナトリウム水溶液を作り、それを煮詰めて塩を作る製法なのだが、日本の海水を使っているので、国産塩! などとこれ見よがしにパッケージに書いてあるのだが、しかし、塩化ナトリウム以外のミネラルが殆ど残らない製法なため、仕上がる塩にはミネラルが入っていたとしても、人口のへんな塩ができてしまう。

ヨネマースはそれに対して、再生自然塩といわれるもので、輸入した安価な天日塩を、にがりと合わせて海水に溶かしてから煮詰めることで、ミネラル分も含む仕上がりになる製法だ。言ってしまえば、精製塩と同様、ある種の工業製品なのだが、しかし、ミネラルを含むかどうかということでは精製塩とは大きく違う。味も、体への影響も。

海水をひたすら煮詰めた天日塩というものもあるのだが、たいてい、かなり価格が高い。ということで、わたしは日々使うのであれば再生自然塩が良いと思っている。伯方の塩とかもこのジャンル。精製塩は辛いだけで美味しくないし、そのくせ再生自然塩とたいして値段も変わらないのでほんとうに選ぶ価値がない。それなのになぜこんなに普及しているのかといえば、1972年に施行された法規制が関係していのだが、この話は書き始めると長いのできょうは書かない。笑

塩を買うときは、裏面を見て、とにかくイオン膜もとかイオン交換膜とか書かれていないものを選びましょう。イオン交換膜で作られた塩が全て悪いわけではないのだが、けっこう複雑な構造の話になっていてややこしい。わたしも、もっと勉強したい。

塩の話は、調味料の話題の中ではかなりファンダメンタルなテーマだし、かつての法規制との関係などもあり、かなり根が深いので、またいつかもっと詳しく書きたい。

 

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話が逸れたが、あとは、おかひじきのおひたし、マッシュルームの味噌汁も作った。
おかひじきは茹で加減を間違えないことがポイント。茹でたりないと硬いし、茹ですぎると食感が悪くなる。
マッシュルームの味噌汁は、想像以上にマッシュルームの出汁が強いので、それに負けないような強い味噌とか出汁を使ったり、ネギなどの薬味をしっかり入れたりするのが良い気がした。

そんなわけで、ひさびさに充実した料理をした。食への向き合い方、取り組み方は、相変わらず、いまだ日々いろいろと模索し続けてしているが、良い材料を、手間を惜しまずに調理して、存分に味わうのって、なんだかんだで至福なのかもしれんな、とか思ったりした。

 

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残った白米は、翌朝、いつもの薬味チャーハンにした。

溶き卵に白だしを少しいれ、冷蔵庫から出したご飯をよくなじませる。

フライパンに油をひいて、投入。弱火で火にかけ続けながら、刻んだ生姜、みょうが、ネギ、などを、いれる。薄口醤油で塩分をととのえて、盛り付けて、鰹節をのせる。ブラックペッパーとゆず七味をお好みで。うーん、美味い。笑