こだわりと、人柄と、そして店の実態の関係
雑魚ほどよく吠える、などとはよく言ったものだが、客に対してああでもないこうでもないうるさい店にロクな店はない、ということを改めて実感した。
もちろん、別にお客様は神様ではないから、食べてやってる、わけではないのだが、だからといって、食べさせてやってる、というわけでもないのではないだろうか。
きょう行ったラーメン屋でとても不快な思いをしたのでそのことを書きます。
お店はこちら。二度と行かないけど。
仕事で千葉に行っていて、仕事終わりにラーメンでも食べようと検索して見つけた店だった。
千葉の片田舎にある店で、ネットのレビューを見る限りは美味しそうだったし、添加物無しで、元フレンチのシェフが作っているとの触れ込みだったので、気になって行ってみることにした。
大通り沿いの店で近くに駐車場はなく、店内から道路が見えるので、店の前に車を停めて入店した。店内はすこし小汚い感じだったが、それなりに賑わっていて、さて何を頼もうと席に着こうとすると…
「お客様、車は、あれ、ダメです」
と店主に言われた。
俺だったら、「申し訳ありません、近隣から苦情が来るので、すみませんが車は他に停めて頂けますと…右の方にコインパもありますので…」くらいの言い方をするところだが、この店主の言い方は、どうにも腰の高い物言いに感じられた。
とはいえ、路駐しているこちらが正しいわけでもないので、もうちょっと他に言い方があるのでは、とは思ったが、ここは素直に従って、店を出て車を停めに行った。
なんとか停められて、そこから5分ほど歩いて店に戻った。
不潔だとは思わないが、ごちゃごちゃと小汚い店内。お冷のカップにカラフルなプラ製を選ぶセンスもちょっとどうかと思ったし、衛生的にもちょっと釈然としない。
べつに、そのことを感謝してほしいというわけではないのだが、移動してわざわざ戻ってきてくれた、ということを考えると、俺が店の人だったら、すいませんわざわざありがとうございます、くらいのことは言うと思うのだが…
「いらっしゃいませ、つけ麺が終わってますのでご了承ください」
店に入るやいなや、無表情のままそう言われて、はあ、と思った。
終わってますのでご了承ください、か。
些細なことかもしれないが、その言葉尻から、この店主の物言いが、どうにもやはり上から目線なのだということに気がついた。
なんとなく、小馬鹿にされているというか、見下されているというか、俺の作るラーメンを黙って食え、とまで思っているかどうかはわからないが、なんだか、下に見られているような気がした。
ラーメンのメニューは謎に多くて、醤油、塩、を始め全部で8種類くらいもあって、醤油はどういう系の醤油で、塩はどういう系の塩かのか、聞いてみたいと思ったのだが、とても聞けるような雰囲気ではなくて、聞きたい気持ちを抑えて、塩を注文することにした。
「塩で、味玉入り、麺硬めでお願いします」
とオーダーしたのだが
「ああ、うち、麺硬めとかそういうのやってないんで…」
とまたバカにしたように言われた。はぁそうですか、と答えながら、わりとこのあたりでイラっとしてきたので、食べないでこのまま出てやろうかとか、いっそ一口食べて食い逃げしてやろうかとか、いろいろ思ったが、まぁでも食べないで判断するのも良くないなと思って、黙ってラーメンを待つことにした。
別に麺の硬さに好みがあるのは普通だし、単にふにゃふにゃと茹ですぎた麺を食べたくないから、それを防ぐために固めで、と言っただけで、「うちはベストのコンディションの茹で加減で茹でてるので」みたいなことを言ってくれればそれで納得できるのだが、麺硬めとかそういうのはちょっと…みたいな言われ方をすると、なんだかげんなりする。
ちなみに、味玉も、はい、卵入りですね、とわざわざ言い直された。細かいことかもしれないが、そういう節々でヘイトが溜まっていく。
そして、出てきたラーメンはといえば…。
なんだこれ美味しくない!!!www
すっきりと澄んだスープ、低温調理の程よい火加減のチャーシュー、キリッとした麺、これだけ見るととても美味しそうなのだが…
そんなわけで、見かけは今時のイケてる感じだが、麺が美味しくないのだ。自家製麺でこだわってる店で麺が美味しくないのって始めてかも。
麺の風味が良くない。独自の風味が、みたいなことが書かれているのを事前にレビューで読んではいたが、小麦の生臭さみたいな、よくわからない風味だし、そもそも角が立ち過ぎた硬いパスタみたいで全然美味しくない。
製麺専門のメーカーの麺を使っている店でも、もっと美味しい麺の店は腐るほどある。
自家製麺でここまで美味しくない麺を作れるのはけっこう衝撃だった。
チャーシューは美味しかったし、ほうれん草と海苔も、麺のまずさを中和してくれてよかった。
スープは、うーん、難しい味だった。
たしかに無化調ではあるが、油と塩が強すぎる。
そして、冷静に味わうと、味がこすぎる。
旨味のたりなさを塩分と油分でごまかし…もとい、カバーしている系。
極端に不味くもないが、おいしいとは言い難い。
嫌いなタイプの無化調スープだった。
味玉は、少し味が濃すぎたが、麺に卵黄を絡めて食べるとちょうどいいくらいだった。卵黄の旨味が麺のまずさを中和してくれた。
店構えや店主が微妙でも、味は美味しいかもしれない、と思って我慢して食べてみたが、やっぱり美味しくなかった。
具体名を出して比較するのもあれだが、以前にこのブログでも書いた、茅ヶ崎のラーメン店。
この店と同じ、無化調で自家製麺の店だが、すべてが真逆だった。
店内は清潔だし、店主は謙虚で物腰が低いし、こだわりの伝え方が自己本位ではないし、麺が美味しいし、スープも美味しいし、ホスピタリティにあふれているし、初めて行ったときにわざわざ駐車場を案内してくれたし、近くに来たら必ず寄りたくなるようなお店だった。
二度と行かないけど、不味くて態度の悪い店に行くと、当たり前だが不快な気分になる。
いっそ食い逃げしてやろうかと少し真剣に考えそうになったが、走って追いかけて来そうなのできちんとお金を払った。
ごちそうさまも言わずに丼もあげずに、黙って店を出た。
そういえば、ラーメンが出てくるときも、ドン、とカウンターに置いた丼をスライドするようにして目の前に出されて、なんとなく気分が悪かった。
食べログで評価されている意味がわからない店だったが、評価と実態がかけ離れているのは、ラーメン屋ではよくあることかもしれない。
車を停めるなと言われる、つけ麺が売り切れたことを仏頂面で言われる、麺硬めをバカにされる。丼の置き方が雑、ラーメンが不味い。と、こうして事実だけを羅列すると、とべつにそこまでひどい店には思えないかもしれないが、いやはやしかし、実感としてはかなり不快だった。
腰の低い接客、べつに減るもんじゃないし、そうしたほうが、双方に不快感が少なくて良いと思うのだが、こういう店本意な飲食店は、どうして、ああいうフリクションが生まれかねない接客しかできないのだろうか。
接客を食べに行っているわけではないが、同じ味だったら接客が良い方が良いに決まっている。
態度が悪い店は、やっぱりどうせ味も美味しくない、という法則を改めて実感した。
人柄がよければそれでいいわけじゃあないんだろうけど、でもね…。
その後しばらくしてからの帰り道に食べたバーガーキングのほうがよっぽど美味しかったわ…。
帰りに食べたバーガーキング。半額セールで360円のバーガーが180円だった。なんだか懐かしい味だった。マクドナルドに比べて、パティが香ばしく焼けている気がした。ソースとかも含めるととはいえマクドのほうが美味しい気もしたが…。さすがに3個一人で食べたわけではない。友人とシェアして1個半ずつ食べた。